『94歳からの挑戦!』シリーズとして以下の内容で配信を予定しています
| 第1章 日本の介護の現実と誤解 1 – ① 高齢化社会の現状データ 1- ② 「介護=お世話」という誤解(今回の記事) 1– ③ 「年だから仕方ない」という思い込み 1– ④ お世話中心の介護がもたらす「寝たきりの連鎖」 第2章 94歳からの挑戦 ─ 祖母の奇跡の7ヶ月 第3章 「歩ける身体」が介護を変える 第4章 介護予防の新しい常識 第5章 ビジネスケアラー世代へのメッセージ 第6章 イキイキFit®が提案する新しいアプローチ 第7章 未来の介護を変えるために |
第1章 日本の介護の現実と誤解 ②
「介護=お世話」という誤解
「介護」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは「食事の介助」「着替えの手伝い」「排泄のサポート」といった“お世話”です。確かにこれらは大切な支援ですが、介護をお世話だけに限定してしまうと、実は大きな落とし穴にはまってしまいます。

人間の身体は「使わなければ衰える」という性質を持っています。転倒が心配だからといって歩行を制限し、立ち上がる機会を奪えばどうなるでしょうか。筋力はみるみる弱まり、やがて本当に立てなくなってしまいます。
親切なつもりのお世話が、かえって本人の力を奪い、寝たきりを早める結果になるのです。
私が36年間の健康づくりや介護の「予防と改善」の仕事に関わり、介護施設や家庭を見てきた高齢者の中には、「家族が全部やってくれるから楽」と話す方がいました。しかし数ヶ月後、その方は立ち上がることさえ難しくなり、以前できていたことができなくなっていました。これは珍しいことではなく、むしろ多くの場面で繰り返されています。
介護の本当の目的は「本人の生活の質を守ること」「自立支援」「尊厳を守ること」です。さらに、介護保険サービスの半分は税金であるため、介護保険法第四条には「国民の努力及び義務」と明記されているのに、ケアマネージャーや介護施設の方は、ご本人や家族にその話をしていません。
もし、自立することができたら、安心して自宅で暮らし続けられる。
家族も介護負担が少なく「仕事と介護の両立」が可能になります。

そのためには、できることを少しでも維持し、回復させ、自立を取り戻していく視点が欠かせません。ところが「介護=お世話」という固定観念が強すぎて、この視点が後回しにされがちです。
お世話を減らすことは、決して冷たい対応ではありません。むしろ「自分の力でできる喜び」を取り戻すための大切なサポートなのです。食べられる、歩ける、着替えられる──これらは高齢者の尊厳そのものであり、「できることを増やす介護」こそが未来を変えるのです。